三線バカ一代

これは、三線、八重山民謡に取り付かれた、一人の男の物語である。  いかに日々の稽古に勤しんでいるか、いかに、八重山古典民謡コンクールを受けるために練習を積んでいるのか。そして、いかに三線を通して男を磨いているのか、を克明に記した。
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コンクール受験録(3日目)

平成23年6月25日(土)くもり

コンクール受験録(3日目)

        も、燃えて来たぜ

 今日は本番。朝早く起きた7時に起きる。

 朝風呂を浴びて、食事。風呂があると言うのは良い。

 一服して10時頃ホテルを出る。

 ボヌール美容室に行き、衣装を受け取る。そこから会場へ。

コンクール受験録(3日目)

 同門の女性の先生着付けをしていただいた。
 外で気付。気付はおかげですぐに出来た。感謝である。

 何人かすでに練習している。しかし、慌ただしい。写真を撮るようにと言われる。合格者は八重山毎日新聞に載るのだと言う。

 ちょっと飲み物が欲しくなり自動販売機でサンピン茶を買う。このような時に限っていろいろやりたいことが出てくる。荷物の整理がうまくできていない。結局リュックをもってきたがここにゴチャゴチャと一杯入っている。

 もう一つの小型のリュックを持って来なかった。大したことではないが、荷物へのアクセスが悪い。工工四、乾いたタオル、濡れタオル、扇子、これらが欲しい。しかし、濡れタオルは袋を忘れたからダメだ。まあ良い。

 外で少し練習して声だしをする。手は十分に覚えたが不安は尽きない。
 そろそろ時間ですと言われて、控え室に行く。というか、廊下が控え室。ステージはドアで仕切られている。廊下で待つ。10人くらい待つのかな、と思ったら、5−6人で良いと。

 二揚げの千鳥、調弦の仕方が不安なので、もう一度、二揚げにして、千鳥をする。何ともなく出来る。調弦の音を再度聴くも、こんな練習腐る程やった。できる。

 慌ただしく、本調子に戻して、ステージ脇の廊下に。ここでありがたいことにちょっとだけ音が出せるので、小さい音で調弦が出来る。後3人、という所で、最後の調弦。殆ど直す所なし。
 同門の先生が、直そうか、と言ってくれたが、自分の調弦に自身があるので断った。もうやりたいようにやる。ここまで来たら。

 一人棄権ですぐ呼ばれた。

 舞台は、私の座るところだけが明るく暗闇の中にぽっかりと照らされている。客席は真っ暗で、「非常口」の照明すら覆って見えなくしている。客の顔は見えない。実際、後で、客席に行ってみたが、真っ暗。目が慣れないうちは何も見えない。

 審査員席が10席程あり、そこだけ、手元に小さいライトが点いているのみである。

 唄う。鳩間節 特に大きな間違いもなく唄えた。
 調弦。こいつもくせ者だ。しかし、これも落ち着いてできた。もちろん、この練習も何度もやっている。調弦の可否も見るとは厳しいコンクールだ。さすがは、八重山古典民謡ではトップクラスのコンクールである。
 次に千鳥節。これも事故もなくしっかりと唄えた。

 最後の後奏を弾きお辞儀をして終える。ホッとした。

 まあ、感触としては良いのではないか。

 ほっとして、友人にメール。地元の先生にも電話。

コンクール受験録(3日目)


 コンクール検定時の撮影とビデオは禁止されているので、休憩時の舞台の様子を撮影した


 さて、まあ、大過なく弾くということでは良かったので、ほっとして、着替える。着替えたらすぐにボヌール美容室に返さなくてはならない。
 とにかく荷物をまとめて、ちょっと見学。みんな一生懸命だ。それが伝わってくる。

 ちょっと見て、ボヌールに返しに行く。ボヌールに行くと、同門の女性らが着付けをしてもらっていた。借り賃2000円をお支払いした。

 戻って、ちょっと聴いた。

  昼をおいしん坊で食べることにする。ここも、美味しいそうだ。

コンクール受験録(3日目)


 
 沖縄蕎麦を頼むと、なぜかすぐに出て来た。
 沖縄蕎麦とゴーヤチャンプルを頼む。ちょっと多かったか。
 食事の後、ホテルに戻る。ちょっとホテルで休むこととする。1時過ぎまでシャワーを浴びて休む。するとほっとした。

コンクール受験録(3日目)


 おいしん坊


 午後に再び会場に戻り、演奏を見学する。
 満足した。同じ歌であるが色々な人がいろいろ唄う。上手い下手もあるが、皆、一生懸命だし、聴いているとその人の人生観が唄を通じてみてくるような気がして面白い。

 終わった後、先生が自宅に8時に集合、と仰ったので、一度ホテルに帰り、風呂に入った。

 そして、ちょっと下のロビーで三線を弾いた。安里屋節、夜雨節を忘れている。これを復習した。と言いつつ、赤馬節、古見ぬ浦もやってしまった。

 先生の家に行く。今日は新人賞を受けた人がみんな集まっていた。今日は泡盛をホテルの向かいのコンビニで買った。古酒(クース)を買った。これを飲んでみたがすごく美味しかった。
 これにファッションフルーツを混ぜて飲むと、これまた格別だ。

 酒を飲んで臨時稽古が行なわれた。
 まずは、グラマラスな背の高い20台の女性。赤馬節、古見ぬ浦。上等だ。

 また、しばし、歓談。

 10時過ぎにそろそろ帰ろうかと思ったらまた、臨時稽古。
 内地から来た女性が稽古をつけてもらっていた。一生懸命唄っておられた。このくらい唄えれば明日は大丈夫だろう。今回で4回目だと。けっこう、たくさん受けている人もいる。それだけ、重厚なコンクールであると理解した。

 11時頃おいとまする。

 ちょっとまた、美崎町に行ってみた。今日は浜辺という民謡酒場に行った。
 これが、芭蕉風と同様、いわゆる民謡居酒屋である。飲み物と簡単なお菓子とおつまみしか出ない。飲み放題。3000円。あとは唄があるのみである。この特殊な形態である。

 3人の歌い手がいろいろな曲を披露してくれた。

 一通り終わったあと、私と夜雨節を唄ってくれた。夜雨は夕方におさらいしてあったので、ある程度やれるが手を間違えてしまう。仕方が無いよ。でも練習の成果はあった。
 石垣島の民謡酒場で唄えるとはすごいことではないかな、と感激した。

 1時頃ホテルに帰る。
 明日は優秀賞のコンクール。

コンクール受験録(3日目)


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Posted by カラ山 倍達 at 2011年06月25日   00:00
Comments( 6 ) コンクール受験録 23
この記事へのコメント
一つだけ意見させて下さい。
八重山古典民謡コンクールのみが最高峰なんですか?
八重山古典音楽コンクールを受験する方々に失礼ですよ?
最近の浅い方々は他団体とやらと言うだけで違う属性の集団への配慮が欠けていますよ?
あなたの論調は琉球古典音楽で受験するのがタイムス派と仮定した場合タイムス賛美ばかりしていて新報のコンクールを受験する方々を馬鹿にしている一部の勘違いさん達とあまり変わらない気がします。元々1950年代までは八重山には流派や団体自体存在しなかったと言う原点を忘れないで欲しいですね。
Posted by くがなー at 2011年07月10日 02:37
コメントありがとうございます。

 優劣を論ずるつもりはありません。
 コンクールはあくまでも、私のような、入門者の勉強の機会と考えております。
 故に優劣を論ずるものではないと元々考えております。

 八重山古典音楽コンクールも、他のコンクールも、もちろん立派なコンクールであると思っています。各位が全力で当たっていると思います。

 ただ、私が自分の参加しているコンクールを一番気に入っております。このコンクールのもっとも気に入っている点はこのコンクールがオープンである事です。つまり、誰でも受けられる、という点です。

 繰り返し、申し上げますが、優劣をつけるつもりはございません。最高峰、というのは私が一番気に入っているのだ、と考えていただければ幸いです。
Posted by akainkoakainko at 2011年07月10日 14:34
沖縄本島ではありませんよ。
八重山には八重山毎日新聞系統のコンクールと八重山日報系のコンクールが鼎立しています。
片方に極度に肩入れする発言から今まで要らないいがみ合いが多数発生しては収束の繰り返しです。
不用意な発言はあまり良くないかと思われましたのでコメント差し上げた次第です。確かに八重山古典民謡コンクールは自由度が高いですね。
見ていて間口が広いのが伺えますが、総じているのは八重山地域の方言がなっていない(発音は集落によりかなり異なるので度外視)方が目立ちます。また八重山の郷土理解度の低い方も受験者に目立ちます。これは良くも悪くも当然かと思うのです。
八重山古典音楽コンクールは間口が狭い分、かなりの各派の思想と理解度と熟練度が受験に差し当たり部門ごとに高度に求められます。
礼儀作法もかなり厳しいです。
普段の素行も加味されて判断される場合があります。
更に八重山日報派は節歌と古謡を明確に分けています。
何故なら、古謡なら「就いた師匠の出身集落を基準に履修すべし」が根底にあり、節歌も各派の発生字が違う、又は師匠系統が同一団体でも異なる場合がありますのでかなりその点加味されます。故に「工工四記載通りの弾き方と節入り」を基本とする反面で受験者の師匠も重視します。これは出身地域由来の発音などが出現する可能性を容認するためです。
あくまで私の私見ですが、「八重山古典民謡コンクール」は「八重山音楽の間口を拡げ、世間に広めた功績が高い」と思うのです。
しかし「八重山古典音楽コンクール」の功績は「厳重に審査を行う事で八重山音楽を割合古い型のまま各派の各師匠を尊重して判定する事で中途半端な各派なりの八重山音楽は容認しない」という審査の力点の違いがあります。
私は八重山古典音楽コンクールの出ですが、親戚の圧倒的多数が八重山古典民謡コンクール派ですからどちらも見て参りました。
八重山古典民謡コンクール派も近年素晴らしく改善されつつあるのが「各節の発生地ないし歌われている字、集落、島」の発音重視し踏まえた上での工工四記載の歌い方の双方の理解の啓蒙に動き始めようとしています。
これは上層部の師匠方が発言なされています。
また、ポップス演奏などの容認などでかなりの層を取り込み三線人口を増やす事に成功しました、反面日本音楽著作権協会から監視対象になっている団体もありますね、音楽は案外シビアな面もありますからね。
Posted by くがなー at 2011年07月24日 06:28
取り急ぎ簡単にレスを。

ブログのポリシーとして、名指しで個人を攻撃したり、団体を誹謗する事は避けたいですね。

 私は、八重山古典民謡コンクールが良かった、このような点が良かった、と述べているだけ。

 Aを褒めたら、B,Cが面白くない、となると、Aを褒めるブログもだめなのか、となる。そんなことはあるまい。なぜ、私の発言が「不用意な発言」になるのか。

 島唄に「小浜島は良い島だ。」など、島ぼめの曲が多くあるが、それもだめなのか。小浜島を褒めたら端間島と黒島がへそを曲げた、というのと同じではないだろうか。

 と言っても、くがなさんのコメントは私には新鮮だし、勉強になる。面白いと思う。

 私は八重山古典民謡音楽コンクールのことを殆ど知らないのです。私はこの会派に属していないから、逆立ちしたって受けられない。まあ、関心もない。いや、これらの会派は多くの偉大な先人が作り上げ、伝承されてきていると最大限尊敬しています。

 でも情報が無い。グーグルで探ってみたが、あまり情報が得られない。課題曲はみた。なかなか力の入ったコンクールではないでしょうか。
 今年の合格者の人数は分かりましたが、受験者の数などは、見つけられません。

 いや、願わくは、八重山古典民謡音楽コンクールに関する詳細なデーターとともに「島ぼめ」的なブログも立ち上げてもらいたいものです。しっかり読ませていただきますよ。

 なんか、 甲を褒めたら、乙と丙がひがむのではないか、という発想が日本人に多いのか分からないが、自分の受けているコンクールはこうだよ! という、熱烈な支持を持って書いているブログが見当たらないです。なんとなくタンタン。食い物や風景のことばかりのブログもある。食い物の事は敵を作らないから。でも物足りない。

 みんな、情熱を持ってそれぞれのコンクールを受けているはずだ。どーんと自分の受けているコンクールを熱烈に直接的に褒めたっていいではないか。そう思います。
Posted by akainkoakainko at 2011年07月25日 01:24
はじめまして。

同じく八重山古典民謡コンクール新人賞を去年受賞しました、macoと申します。


コンクールについての判定、とても興味深く拝見させて頂きました。


まだ八重山の文化や民謡の知識の浅い私にはコンクールのあり方について色々申せませんが、akainokoさんのブログを読んで、やはり内地から苦労して石垣島まで行き、八重山古典民謡コンクールを受験したことを改めて誇らしく思いました。


コンクールは違えど、それぞれの民謡に対する熱い思いは皆同じですものね。


コンクール受験録を読んで、今年受験した同研究所の仲間(最優秀・優秀・新人賞合格)もボヌール美容室で衣装を調えて試験に臨んでいたので、去年の自分と重ねつつ懐かしく思い、ついコメントしてしまいました。

長々とすみません。
Posted by maco at 2011年08月18日 23:20
macoさん やりましたね。macoさんのブログを拝見しましたが、お若い方のようで、もう可能性はいっぱいですね。

 ぜひ、優秀賞に進んで下さい。

 新人賞、優秀賞ともに、ほかのコンクールを圧するものがあります。ゆえに、このコンクールを突破しようとすれば、他のコンクールを目指している人よりも数倍、稽古しなければ成らない。それでないと、突破は覚束ない。

 でも、突破したとなれば、すごい実力が身に付いているものと思います。

 いやさ、他のコンクール受験生だって、八重山古典民謡コンクールの課題曲を練習して完璧に暗譜、モノにすれば同じである。しかし、人間、そうは言ってもなかなかできない。

 試験もないのに勉強しましたか?
 
 目標があるから、がーーっとやれる、やれた、ということは世の中にいくらでもある。

 ともかく、Macoさんには可能性がいっぱいです。そう思います。

 20代で八重山古典民謡コンクールの新人賞を突破するのと、40代で突破するのとでは、人生において大きな違いがあります。本当に楽しみなことです。
Posted by akainko at 2011年08月23日 00:44
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